ADHDの療育・支援方法

ADHDのある子ども達は、年齢とともに課題が変化していきます。療育のポイントは基本症状だけでなく、そこから生ずる有害な影響、たとえば度重なる叱責、いじめられ体験による対人関係障害、自己評価や自尊感情の低下などを最小限度に抑え、子どもが本来持っている能力の可能性を開花させ、自己評価、自尊感情を高めることにあるといえます。

子どもの示す言動をわがままや自己勝手と決め付けず、子どもの視点に立って言動を分析しましょう。また、長所を探し認めるように心がけます。そして、何事にも時間がかかることを理解し、適切な支援と援助を続けましょう。子どもに対して、誠意をもって接することが大切です。
① 注意力への対処例
・注意散漫にならないように邪魔なものや机を教室から排除します。
・口頭の指示は単純明快で簡潔に心がけます。
・気が散らないよう、最前列もしくは教員の近くで適宜声をかけます。
② 衝動性への対処例
・正しい行為、気付かせたい行為を紙に書き、目に付くように貼って注目させておきます。
・不適切な言動を示した場合、その紙を読ませて気付かせます。
・些細なことはできるだけ無視し、良い場面があればすぐに褒めましょう。
・予め行動ルール、約束を決めておき、約束を守った際には褒めましょう。
③ 多動性への対処例
・大切なことは、大人が主導権を持って動ける場を提供してあげることです。
・多動性は無理に押さえず、授業中に小休止させたりストレッチを取り入れたりします。
・子どもに完璧な態度を求めず、多少のだらしなさは容認しましょう。
子どもは常に「輝かしく、かけがえの無い」ものとして肯定的に認めましょう。その上で良い行動と良くない行動を分離して評価します。良くない行動は指摘するか無視して辞めさせます。良い行動の時はその行動の最中か直後に子どもの喜ぶ方法で目を見て明るくわかりやすく褒めましょう。

現在ADHDの治療によく利用されている薬は、中枢神経刺激約、塩酸メチルフェニデート(メタリン)です。有効率は70~80%程度で、副作用に注意しながら適量を見つけます。医師とよく相談しましょう。

その他にも、ソーシャルスキルトレーニングや生活全般の指導・支援などがあります。
また、保護者や関係者にも疲弊しているケースが多く、支援が必要です。努力を認め、慰労し支え合い認め合えるネットワークの構築が望まれます。

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